飲食店のマーケティングが重要な理由は?効果や具体的な施策・成功事例を紹介
飲食店の数は多く、味だけでは競合他社との差別化が難しいと考えている方も多いのではないでしょうか。マーケティングは競合他社との差別化を図り、売上・利益を向上させるための重要な要素です。
本記事では、飲食店のマーケティングの重要性や具体的な施策を紹介します。マーケティングを成功させるためのポイントや、成功事例も紹介するので、飲食店の経営に携わっている方や、マーケティングを担当している方はぜひ参考にしてください。
飲食店でマーケティングが重要な理由
「マーケティング」とは、ひとことでいうと売れる仕組みを作ることです。なかでも、飲食店のマーケティングとは「あのお店に行きたい」、「あのお店の〇〇を食べたい」と思ってもらう仕組み作りです。
具体的には、市場調査商品開発、広告宣伝、販売促進、営業、販売などがマーケティング活動の一例です。マーケティングには様々な活動内容や手法があります。共通するポイントはマーケティングの中心に顧客の存在がある点です。
顧客のニーズや消費スタイルは変化しやすいため、時代に応じたマーケティング施策が重要です。
飲食店の事業計画段階で行うマーケティング
マーケティングを行う場合は、事前の準備が重要です。以下で簡単に内容を紹介するため、参考にしてください。
これらのステップを通じて、具体的かつ効果的なマーケティング戦略を構築し、成功する飲食店を開業するための基盤を作ることができます。
マーケティングを実行する上では5W2Hが重要
5W2Hとは、マーケティングを実行する上でのフレームワークで、情報を整理し、明確にするための質問のセットです。
マーケティングの事業計画を考える際や実行する際は、上記を意識しましょう。
飲食店のマーケティングで重要視される「CRM」
「CRM」とはCustomer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略です。顧客との関係を管理しながら、顧客がリピーターやファンになってもらうために、長期的な関係性を築くことを目的としており、飲食店以外のビジネスでも重要視されています。
顧客との深い関係性は、結果的に売上・利益の向上につながるためです。CRMで管理する項目の一例は以下のとおりです。
- 属性(年齢・性別・居住地域・職業など顧客の基本情報)
- 来店時間帯や来店頻度(顧客の同行分析)
- 利用金額
- ソーシャルメディアアカウント(オンラインでの顧客の活動)
- メールアドレス・SMS番号
- 嗜好やアレルギー
- ポイントやクーポンの履歴や参加イベントの履歴
- リファレンス情報(どのようにしてその顧客が店舗を知ったのか)
顧客情報を分析すると、個別に最適なプロモーションやサービスの提供が可能になります。CRMを実践すると競合との差別化が図れるため、マーケティング施策のひとつとして覚えておきましょう。
飲食店のマーケティングで期待できる効果
マーケティングの実践によって得られる効果は以下のとおり様々です。
- 集客力の向上
- ブランド力の向上
- ロイヤルカスタマーの増加
- 認知度の向上による新規顧客層の開拓
- 競合他社との差別化
マーケティングによって得られる効果は、結果的に売上や利益の向上につながります。方法は大きく分けてデジタルマーケティングとアナログマーケティングがあり、それぞれ特徴があるため、自身が携わっている飲食店にとって効果的なマーケティングを取り入れることが大切です。
飲食店のマーケティングで効果的な手法の具体例
飲食店のマーケティングで効果的な手法は以下のとおりです。
- SNSや動画配信サイトの活用
- ホームページの作成
- グルメサイトへの掲載
- MEOの強化
- デリバリーサービスへの対応
- オンライン予約への対応
- アナログなマーケティング手法の併用
様々な手法がありますが、やみくもに実施しても成果は出ません。自らの店の良さを伝えるセルフプロモーションが重要です。マーケティングの目的とプラン、コンセプトや理念に合わないことは避け、一貫したブランドイメージやメッセージを持ち続けましょう。
以降ではそれぞれの手法を詳しく紹介します。
SNSや動画配信サイトの活用
SNSや動画配信サイトの活用は飲食店のマーケティングに効果的です。視覚的にお店のメニューや雰囲気を訴求できる上、無料で使用できるプラットフォームも多く、低コストではじめられます。
媒体によっては、アナリティクスにより閲覧しているユーザーの層も確認可能です。一部のSNSでは、ビジネスに特化した機能が使える有料プランも提供されています。
SNSや動画配信サービスは拡散力があるため、うまくいけば費用対効果の高いマーケティング効果が得られるでしょう。ただし、ネガティブな情報が拡散されると、店舗の信用を低下させる危険性があるので、リスクマネジメントを行いながらの運用が大切です。
ホームページの作成
ホームページは、基本情報やメニュー、イベント情報など、お店専用の情報を発信できる場です。SNSや動画配信サイトと比べると拡散力は高くありません。しかし、お店が公式に発信する情報のため、信憑性を求める顧客からのニーズがあります。
ホームページには、予約や問合せなどのフォームも設置するとよいでしょう。SNSや動画配信サイトと相互にリンクさせると、より効果的に活用できます。
グルメサイトへの掲載
グルメサイトは、主に飲食店が広告として自社の情報を掲載できるメディアです。グルメサイトで利用するお店を探す方も多いため、積極的に掲載すると潜在顧客の目に触れる機会が大きくなります。
SNSや動画配信サイトでは、一定の認知度がなければ閲覧数は伸びません。一方、グルメサイトはメディア自体に集客力があれば、知名度が低い店舗でもユーザーの目につきやすい点がメリットです。ただし、多くの飲食店が掲載しているため、競合が多い傾向にあります。また、掲載のためには費用が必要です。
MEOの強化
MEOとは、Map Engine Optimizationの略で、マップ検索エンジン最適化と呼ばれます。主にGoogleマップ向けの地図エンジンで検索結果が上位に表示される施策です。
例えば「新宿 イタリアン」で検索した際に、Googleマップ上で上位表示されれば選んでもらいやすくなります。近年ではスマートフォンの普及により、Googleマップで表示された店舗に来店する方も増えているとされているので、マーケティングのひとつとして検討しましょう。
デリバリーサービスへの対応
年々スマートフォンのアプリで注文できるデリバリーサービスの需要は高まっています。
デリバリーサービスに登録すると、実店舗に来店する既存顧客の利用に加え、近隣エリアからの注文も受けられます。リピーターからの注文だけでなく、来店したことのない新規顧客の開拓にも効果的です。
オンライン予約への対応
オンライン予約への対応も顧客との差別化に貢献するマーケティング手法のひとつです。電話予約は億劫と感じる顧客が一定数存在するため、オンライン予約に対応していない場合は機会損失につながる可能性があります。
WEB上で空席状況を確認でき、簡単な手順で予約できるシステムを採用すれば機会損失を防げるかもしれません。
アナログなマーケティング手法の併用
デジタルマーケティングに加えて、アナログなマーケティング手法も併用して実践しましょう。具体的には以下が挙げられます。
- チラシ配り
- ポスティング
- 外観や看板の工夫
- イベントへの参加
- コラボレーション企画
デジタルマーケティングに比べて手間やコストがかかる可能性があります。しかし、顧客との直接的なやり取りが主なため、デジタルマーケティングにはない顧客体験を生む点がメリットです。
予算の範囲内で、店舗に応じた効果的な手法をデジタルマーケティングと併用して進めるとよいでしょう。
飲食店のマーケティングを成功させるためのポイント
飲食店でマーケティングを成功させるためのポイントは以下のとおりです。
- ターゲット層を明確にする
- 手法はデジタルとアナログをバランスよく取り入れる
- 長期的な目線で取り組む
以降でそれぞれを簡潔に紹介します。
ターゲット層を明確にする
冒頭でも紹介しましたが、マーケティングではターゲット層の絞り込みが重要です。自身が運営する飲食店を「できるだけ多くの方に知ってほしい」と思うかもしれません。しかし、ターゲット層を広げすぎると訴求力が落ちてしまう可能性が高いので注意しましょう。
ターゲット層を絞らずにマーケティングを行うと結果的に費用だけかかり、効果が薄いマーケティングになってしまいます。特定のエリア、特定のニーズ、特定の年齢層など、ある程度ターゲット層を絞ると、費用対効果の向上が期待できます。
手法はデジタルとアナログをバランスよく取り入れる
近年は、スマートフォンをはじめとするデジタルツールを活用している顧客が多いので、デジタルマーケティングに力を入れることも重要ですが、アナログなマーケティング手法との併用が大切です。
例えば、チラシやイベントなど、デジタルマーケティングにはない顧客体験が得られるアナログマーケティングが刺さる層もいるでしょう。デジタルマーケティングは実践しやすく競合も多いため、アナログな手法と併用すると差別化にもつながります。
長期的な目線で取り組む
マーケティングは実践から効果が出るまでに時間差がある可能性が高いため、長期的な目線での取り組みが大切です。
例えば、SNSへの投稿やクーポンの配布、キャンペーンの開催、イベントの開催などのマーケティングにより、一時的に売上が増えるだけでは不十分です。マーケティングは一時的に売上を増やす手法ではありません。新規顧客をリピーターに、リピーターをファンにするためには継続的にマーケティングを行いましょう。
来店する顧客の情報を管理・解析し、常に改善していくことでより効果を発揮します。
飲食店のマーケティング成功事例
マーケティングを成功させている企業の一例として、回転寿司チェーン店の事例が挙げられます。
運営する公式SNSアカウントは、開設からわずか10ヶ月でフォロワー10万人を突破しました。売りたい商品を直接的にPRするのではなく、まずフォロワーを獲得し、ファン化させてからマネタイズへつなげる段階的なアプローチが成功の要因とされています。
また、一部の来店客による迷惑行為が発生した際には、厳正な対応と顧客中心の姿勢が評価され、SNSでの高評価につながり、芸能人をはじめとする拡散力のあるユーザーによって来店が促進されました。
SNSだけでなく、子ども連れの家族が利用しやすい注文システムや遊び心のある工夫、人気キャラクターとのコラボレーションなど店舗展開をからめた施策も功を奏し、特定のターゲット層のファン化に成功しています。
飲食店で効果的なマーケティング手法を知りたいなら「レストランマネジメントEXPO」へ
ここまで紹介したとおり、飲食店のマーケティングを行うには、事前の準備が欠かせません。より効果的なマーケティングを行うために有益な情報を収集するなら、「レストランマネジメントEXPO」にぜひご来場ください。
レストランマネジメントEXPOは、飲食店の経営や店舗管理の課題を解決するための展示会です。
会場は「集客支援ゾーン」「バックオフィスゾーン」「リスクマネジメントゾーン」の3つに分かれています。飲食店に効果的な最新のデジタルマーケティング手法から、SNSでの炎上対策など、マーケティングに関する情報収集が可能です。
例えば、集客支援ゾーンでは、WEB/SNSマーケティングやECサイト支援、クーポン配信など、飲食店のマーケティングに役立つサービスが出展しています。自店舗に適したマーケティング手法を見つけるのに役立つでしょう。
また、飲食店の自動化・DXに特化した展示会「スマートレストランEXPO」も同時開催されます。人手不足問題・労働環境の改善などの課題を、デジタル技術で解決する企業が、最新ソリューションやサービスを出展する展示会で、来場事前登録をすれば同時開催展にも無料で入場可能です。
なお、来場だけでなく出展者側として参加することにもメリットがあります。課題を抱える企業が集まるなかで自社のサービスや製品を大いにアピールできる他、導入を前向きに考えている企業と商談でき、案件の獲得につながります。
来場、出展ともにメリットがあるので、飲食店の経営やマーケティングに携わる方は、ぜひ参加をご検討ください。
飲食店のマーケティングは競合との差別化に重要な要素
飲食店のマーケティングは、競合との差別化を図る上で重要な要素です。デジタルツールやアナログツールをバランスよく使用し、自店舗の魅力をアピールして顧客の心を掴むことで、リピーターの獲得や口コミ拡散が期待できます。とくにSNSや動画配信サイトは拡散力があり、飲食店のマーケティングに向いているでしょう。
マーケティングは長期的な目線での運用が大切です。拡散力が強いデジタルマーケティングでは、炎上した場合の対策も考慮して活用しましょう。
飲食店のマーケティングに携わっている方は、飲食店のマーケティングに関する有益な情報収集ができるレストランマネジメントEXPOにぜひ足を運んでください。同時開催されるスマートレストランEXPOでも、飲食店のマーケティングに役立つ情報収集や製品の比較が可能です。
▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)
エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント
出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリアトスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。
▼この記事をSNSでシェアする